Shopify Editions Spring ’26 小売(POS)
小売(POS)カテゴリーは、実店舗での販売を支える Shopify POS(Point of Sale/店頭レジ)まわりの強化が中心です。なお、POS Pro / Shopify Plus / 特定地域に限定され、こちらで実機確認できなかった機能は、不正確な説明を避けるため末尾に割愛理由とともにまとめて掲載しています(各公式ドキュメントへのリンク付き)。
史上最速のPOS(V11) 常時表示カートで会計を短縮し、1分以上の時間を節約。 +
この項目は POS の概要です。個別の新機能というより、POSの操作体系そのものを作り直したのが V11。設計の起点は「アクションはカート横(サイドパネル)に開く。カートの上には重ねない」という原則で、操作のたびにカートが隠れる従来のモーダルをやめ、カートを常に見せたまま横のパネルで操作させます。
ホーム画面。左が操作エリア(スマートグリッド)、右が常に見えるカート。注文レベルのアクションもカートを隠さずに行えます。
商品一覧(全ての商品)を開いても、右のカートは出たまま。商品を探しながら、いまのカート内容を見失わないのが V11 のレイアウトです。
「すべてを選択」で複数商品をまとめて一括変更。各商品のアクションは行の直下、注文レベルは「その他」に整理。下のシートでは数量変更やディスカウント適用がその場で行えます。
検索で見つからなければその場で新規顧客を作成。検索時に打った情報がフォームに自動で引き継がれます(出典にも明記)。ここでもカートは見えたまま。
支払い方法の選択もサイドパネルで開き、カートは右に残ります。各ボタンのタップ領域を拡大し、押し間違いを減らしています。
現金や分割の金額入力は、OS のキーボードではなく画面内の数字パッドに。提示額のショートカットもあり、入力が速くなります。
支払い後の領収書選択(メール/SMS/なし)もサイドパネルへ。最後までカートの内容を見失いません。
「1分以上速い」の出どころ:このカード文言の根拠は、出典の Retail Roundup 本文ではなく、Shopify 公式動画「Shopify POS checkout is over a minute faster」です(実店舗 Province of Canada の事例。本カテゴリーの項目「再構築されたPOSチェックアウトの活用事例」で扱います)。Roundup が明記する定量値は「1ステップ数百ミリ秒」で、その積み上げ+顧客情報の自動入力などの操作削減で、1回の会計が1分以上短縮、という関係です。
行列・ピーク時間ほど効くアップデートに見えます。1取引の短縮 × 客数で効いてくるので、まず混雑店舗・催事から体感を取りに行くのがよさそうです。なお画面が刷新されスタッフの操作導線が変わるため、モーダル前提の手順書は作り直しが要ります。導入時は短い再トレーニングをセットにしておくと安心です(※掲載画面はすべて再現イメージ・ダミーデータ)。
再構築されたPOSチェックアウトの活用事例 Province of Canada の店舗スタッフによる POS V11 活用事例。 +
前項(V11)の刷新を、実店舗(カナダの Province of Canada)の現場視点で見せる Shopify 公式の事例動画です。タイトルがそのまま「Shopify POS checkout is over a minute faster(会計が1分以上速くなった)」という主張になっています。
- 販売エンジンの刷新:エンジンをゼロから再構築し、日常のチェックアウト業務を大幅に効率化。[00:00]
- チェックアウトの高速化:顧客情報の自動入力、よく使う割引コードのワンタップ適用などで、所要時間が1分以上短縮。行列の緩和に貢献。[00:07]
- 顧客体験の向上:会計が「劇的に速くなった」ことで混雑時も余裕を持って対応でき、「まるで友人と買い物しているような」体験に。[00:41]
- 検索・在庫確認の向上:類似バリエーションの多い商品でも素早く発見。iPad で他店舗の在庫も確認できる。[00:52]
前項のカード文言「1分以上の節約」の根拠は、この公式動画のタイトル&ナレーション([00:07])です。一方、テキストの出典(Retail Roundup)が明記する定量値は「1ステップ数百ミリ秒」。各ステップの短縮の積み上げ+顧客情報の自動入力などで、1回の会計が1分以上短縮、という関係です。
抽象的な「速くなった」ではなく、実店舗スタッフの言葉+数字(1分以上)で語られているのが効きます。行列・混雑が課題の店舗ほど刺さる内容で、導入を検討する際の“動く事例”として一度見ておく価値がありそうです。
Shopify POSでスキャン可能なディスカウント QRコードをスキャンするだけで店舗チェックアウトに割引適用。 +
管理画面で作ったディスカウント用の「共有可能なQRコード」を、店頭でスタッフがスキャンして会計に割引を適用する機能です。キャンペーンコードの手入力が不要になり、レジ時間と打ち間違いを減らせます。
- 作る:管理画面の「ディスカウント」で作成し、共有可能なQRコードをダウンロード。
- 出す:店頭POP・チラシ・DM・顧客のスマホ画面などに載せる。
- 読む:POS のカメラ(バーコードアイコン)または 2Dバーコードスキャナーで読み取る。
- 適用:QRが有効で、かつカートが割引の要件を満たしていれば自動適用。
管理画面 →「ディスカウント」→ 対象を開く →「プロモーションする」→「共有可能なディスカウントコードを取得する」→ リンク先を選択 → ダウンロードアイコンで QR を取得(「リンクをコピー」で共有リンクも取れます)。なお共有リンク・QRはアクティブな(有効な)ディスカウントのみ機能します。
注意:適用条件(対象商品・最低金額など)を満たさないと割引は効きません。店頭スタッフが条件を把握していないと「スキャンしたのに割引されない」混乱が起きるため、条件はシンプルに保つのが無難です。対応するディスカウント種別・対象プラン・地域は出典に明記がないため、運用前にご確認ください。
販促の“最後の1メートル”を速くする機能に見えます。紙のチラシ・店頭POPにQRを刷っておけば、来店時にスキャンするだけ。オフライン販促を、そのまま Shopify のディスカウント設定に直結できるのが利点です。作るのは管理画面のディスカウント、読むのが POS、という役割分担を押さえておくと運用がスムーズそうです。
スマートグリッドと連携するエディター 商品の入れ替え・タイル更新、ロック画面や顧客ディスプレイ設定にアクセス。 +
POS の見た目(ホーム画面のスマートグリッドのタイル、ロック画面、お客様向けディスプレイ)を、Shopify 管理画面の「POS エディタ」からまとめて整える仕組みです。端末側ではなく管理側(PC)で設定でき、全ロケーションで一貫した体験を配れます。
管理画面の「POS」ページ中ほど、「POSをカスタマイズする」の[エディターを開く]から入ります。
左に「スマートグリッドテンプレート/ページ/Lock screen/Checkout」、中央に端末プレビュー。タイルを編集するとプレビューに即反映されるのを実機でも確認しました。
編集がPC(管理画面)側なので、本部・店長がレイアウトを設計して各店に配る、という運用に向きます。スマートグリッドだけでなく、ロック画面やお客様向けディスプレイまで整えられるので、店頭でのブランド体験を統一したい多店舗ほど効いてきそうです。
デバイスごとにオフラインのチェックアウトを手動で有効化 通信が途切れても端末単位でオフライン販売を継続。 +
インターネットが切れても、その端末だけオフラインモードに切り替えて会計を続けられる機能です。通常は接続断時に有効化を促されますが、それを手動で先回りして有効化できます。回線が不安定な催事・ポップアップ・地下店舗などの保険になります。
POS の接続アイコンをタップ →「接続」の「オフラインチェックアウトを強制」をオン。事前にスタッフへ「デバイスをオフラインチェックアウトに切り替える」権限が必要です(マネージャー承認を要する設定なら PIN)。
現金・カスタム決済が基本ですが、「オフライン決済を有効にする」設定をしておくとカード決済も通ります(実機でも日本のストアでオフラインのカード決済が完了するのを確認しました)。再接続すると注文・在庫が自動同期され、領収書も自動送信されます。
注意:オフライン中に端末の電源を切る/ログアウトすると、オフライン注文が失われる可能性があります。同期が終わるまで電源は切らないこと。また、オフライン販売では顧客の電話番号またはメールの収集が必須です(フランスのロケーションは本機能の対象外)。
「通信が落ちても会計を止めない」保険として、混雑日や電波の弱い会場の前に先回りでオンにしておく使い方が現実的です。日本でもオフラインのカード決済が通ることを実機で確認できたのは安心材料でした。
店舗限定ディスカウント 対面販売でのみ適用される割引を作成し、店舗とオンラインで分離。 +
割引の適用先を「対面(POS)だけ」に限定できます。店頭セールをオンライン価格に波及させずに打てるので、来店動機づくりに使えます。
管理画面の「ディスカウント」で自動ディスカウントを作成し、「利用資格」の「POS Pro のロケーションに適用する」にチェックを入れます。
2つの注意点(実機で確認)
① チャネル限定できるのは「自動ディスカウント」だけ。ディスカウントコードは全チャネル共通で、店舗限定にはできません。
② このチェックは「POS Pro の全ロケーションに一律」で、店舗を個別指定する欄はありません。特定の店舗だけに絞るには、別途 Shopify Markets のマーケット(小売マーケット)割り当てを使います(対面限定=このチェック/特定店舗限定=マーケット、と機能が分かれています)。
「来店者だけ◯%OFF」をオンライン価格に影響させず打てるのは実務的です。ただし紙クーポンのコードでは店舗限定にできない点が落とし穴なので、店舗限定にしたいなら自動ディスカウントで組む——と覚えておくと混乱しません。
小売(POS)カテゴリーには、上記のほかにも多くのアップデートがあります。ただし以下は POS Pro / Shopify Plus / 特定地域に限定され、筆者が普段 POS を実運用する立場になく、こちらで実機確認できていないため、不正確な紹介を避けて深掘りを見送ります。各公式ドキュメントのリンクのみ掲載します(内容はご自身の環境でご確認ください)。
- Shopify POS向け Verifone Victa Mobile(米国・カナダのみ/日本対象外)— 出典 ↗
- 1つのカートで返品と交換を処理(POS Pro)— 出典 ↗
- ギフトカードのキャッシュアウト(残高 $15 未満・現金のみ/日本可否は要確認)— 出典 ↗
- 対面での受取注文(POS Pro)— 出典 ↗
- Shopify POS のキーボードショートカット(操作詳細)— 出典 ↗
- 発送する在庫転送の明細表(POS Pro)— 出典 ↗
- お客様データに対する権限設定(POS Pro)— 出典 ↗
- 在庫転送の受け取りとフルフィルメント(POS Pro)— 出典 ↗
- 店舗のロケーションをまたいだ複数法人での販売(Shopify Plus)— 出典 ↗
- 複数法人ビジネス向けのタッチ決済(Shopify Plus)— 出典 ↗
- 複数法人でのオフライン決済(複数法人=Shopify Plus)— 出典 ↗
- Shopify POS における現金の可視性と管理 — 出典 ↗