
この記事で分かること
- Shopify(ショッピファイ)が何のサービスで、どんな仕組みで動いているか
- Shopifyでできることの全体像と、かかるお金の種類
- メリット・デメリットと、向いている人・向いていない人
この講座の最初の回として、「Shopifyとは何か」を1本にまとめました。料金や手数料の細かい数字は別の回に任せ、ここでは全体像をつかむことを目的にしています。内容はShopify公式の情報をもとに整理しています。
目次
01読み方と基本情報
Shopifyは「ショッピファイ」と読みます。Shopify公式ブログの「Shopify(ショッピファイ)とは? 機能やサービスのまとめ」でも、カタカナで書くと「ショッピファイ」だと説明されています。検索では「ショピファイ」という表記もよく見かけますが、指しているものは同じです。名前は英語の「shop(お店)」を連想させますが、名前の由来そのものは公式ページでは確認できませんでした。
ひとことで言うと、Shopifyはネットショップ(ECサイト)を作って運営するための仕組み一式を、月額制で提供するサービスです。
用語メモ | EC
Electronic Commerce(電子商取引)の略。インターネット上で商品を売り買いすることを指します。ネットショップのことを「ECサイト」とも呼びます。
同じ公式ブログでは、Shopifyはカナダの会社で2006年に誕生し、日本では2017年から展開、175か国以上で利用されていると紹介されています(ブログ記事の最終更新は2024年1月のため、数字は当時のものです)。より新しい数字としては、Shopify公式の「Shopifyについて」ページに次の記載があります(2026年9月時点で確認)。
- Shopifyを利用する事業者の累計売上は「1兆米ドル以上」
- 2023年にShopifyのストアで購入したユニークな購入者は「6億7,500万以上」
- Shopify App Storeには「13,000以上のアプリ」がある
同じページではShopifyを、オンラインと対面の両方の販売に対応したコマースプラットフォームとして説明しています。ネットショップだけでなく実店舗のレジまで扱える点が、「カートシステム」という言葉から想像するより範囲が広いところです。
02Shopifyの仕組み:サーバーを用意しなくていい理由
ShopifyはSaaSと呼ばれる提供形態のサービスです。
用語メモ | SaaS
Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)の略。ソフトウェアを自分のサーバーに入れるのではなく、提供会社が運用しているシステムをインターネット経由で借りて使う形です。GmailやZoomを使うときに、自分でサーバーを用意しないのと同じ感覚です。
ネットショップを自前で作る場合は、サーバー、カート・注文管理、決済、SSL証明書(通信を暗号化し、URLを「https」にするための証明書)、デザイン、そして保守・更新を、それぞれ別々に用意する必要があります。Shopifyではこれらがひとまとめになっています。

公式の料金ページでは、すべてのプランにウェブホスティング(サーバー)と無料のSSL証明書が含まれ、帯域幅(アクセスが集中したときに流せるデータ量)も無制限とされています(2026年9月時点で確認)。
ここがポイント
- 自分でサーバーを契約・管理する必要はない
- システムの更新や障害対応もShopify側が行う
03かかるお金は3種類に分けて考える
費用は、性質の違う3種類に分けて考えると整理しやすくなります。金額は変わることがあるので、ここでは構造だけを押さえます。

| 費用の種類 | 性質 | 内容 | 詳しく学ぶ |
|---|---|---|---|
| 月額料金 | 固定費 | プランごとの利用料。最も安いBasicは年払いで月3,650円、月払いで月4,850円(2026年9月時点、公式料金ページで確認) | LESSON 03 料金プラン(近日公開) |
| 決済手数料 | 売上に比例 | 注文が入るたびにかかる。料率はプランによって異なる | LESSON 04 手数料(近日公開) |
| アプリ・テーマの費用 | 必要に応じて | 有料アプリや有料テーマを追加したときにかかる | この回の「デメリット」で説明 |
お試しについては、公式料金ページに「3日間無料でお試しください。その後3か月間は、月額150円でご利用いただけます。」とあり、無料体験ページではクレジットカードの入力は必要ないとされています(いずれも2026年9月時点で確認)。キャンペーンは時期によって変わるので、始める時点で公式ページを確認するのが確実です。
04Shopifyでできること
Shopifyでできることを、公式ヘルプと料金ページの記載から領域ごとに整理しました。

| 領域 | できること | 公式の情報 |
|---|---|---|
| ストアのデザイン | テーマ(デザインのひな形)を選び、テーマエディタで見た目を調整する。無料テーマと有料テーマがある | テーマストア |
| 商品・在庫管理 | 商品登録、サイズや色などのバリエーション、在庫管理、CSVでの一括入出力 | 商品のエクスポート |
| 決済 | Shopify独自の決済サービス「Shopifyペイメント」が日本でも使える | Shopifyペイメントの対応国 |
| 実店舗の販売 | iOS・Androidで動くレジアプリ「Shopify POS」。在庫と注文をネットショップと同期 | Shopify POS |
| 機能の追加 | Shopify App Storeからアプリを入れて、レビューや定期購入、メール配信などを追加 | アプリ |
| 海外販売 | 国・地域ごとに通貨や言語、ドメインを切り替えて販売 | 海外販売 |
| 他サイトでの販売 | Buy Buttonで、Shopify以外のサイトやブログに購入ボタンを埋め込む | Buy Button |
用語メモ | POS
Point of Sale(販売時点情報管理)の略。お店のレジで「いつ・何が・いくつ売れたか」を記録する仕組みです。
テーマは「Liquid(リキッド)」というテンプレート言語で作られています。Shopifyの開発者向けドキュメントでは、LiquidはShopifyが作ったオープンソースのテンプレート言語だと説明されています。コードを書かなくても運営はできますが、デザインを細かく作り込みたくなったときにLiquidを触ることになります。
05メリット:何がすごいと言われるのか
個人的には、「ネットショップに必要なものが最初から揃っていて、足りない部分をアプリで後から足せる」という組み合わせが強みだと感じます。整理すると主なメリットは次の5つです。
1. サーバーや保守を自分で抱えなくてよい
ホスティングとSSL証明書がプランに含まれるため、サーバーの契約や更新作業が不要です。セキュリティ面では、クレジットカード情報を扱う事業者向けの国際的なセキュリティ基準であるPCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)について、準拠証明書を毎年発行していると公式ヘルプで説明されています。
2. アプリとテーマで機能・デザインを広げられる
公式ページでは13,000以上のアプリがあるとされています。レビュー、定期購入、メールマーケティングなど、標準にない機能の多くはアプリで補えます。
3. ネットショップと実店舗をまとめて管理できる
Shopify POSを使うと、実店舗の売上と在庫がネットショップと同じ管理画面で扱えます。「ネットでは在庫ありなのに店頭では売り切れていた」といったズレを減らしやすくなります。
4. 小さく始めて大きく育てられる
プランはBasicから大規模事業者向けのPlusまで段階的に用意されていて、サイトを作り直さずに上位プランへ切り替えられます。
5. 海外販売の仕組みが最初から入っている
公式料金ページでは、全プランに「Shopify Marketsでローカライズ販売」が含まれるとされています(2026年9月時点で確認)。
06デメリット:「難しい」と言われる理由
一方で「難しい」「使いにくい」「儲からない」という声もあります。仕組みから見ると、次の点がそう感じられる原因になりやすいと考えています。
1. 英語由来の情報が多い
管理画面は日本語に対応しています(公式ヘルプの対応言語一覧に日本語の記載があります)。ただ、アプリの説明や開発者向けの資料には英語のものも多く、調べものの段階で英語に触れる場面が出てきます。
2. アプリ費用が積み重なりやすい
有料アプリを入れるたびに月額費用が増えます。公式ヘルプによると、アプリの料金には月額の定期課金、使用量に応じた課金、1回限りの購入などがあり、多くはShopifyの請求書にまとめて請求されます。一部のアプリはShopifyの外で独自に請求するため、Shopifyの請求書に出てこない点にも注意が必要です。
3. 自由にできない部分がある
SaaSなので、システムの中身を自由に書き換えることはできません。たとえばチェックアウト(購入手続き画面)の情報入力・配送・支払いの各ステップをアプリでカスタマイズできるのは、公式ヘルプによるとShopify Plusのみとされています。
4. 作り込むほど学習コストがかかる
テーマエディタの範囲ならコードは不要ですが、細かいデザイン調整をしたくなるとLiquid・HTML・CSSの知識が必要になります。
5. 集客は自分で行う必要がある
「Shopifyは儲からない」という声の多くは、ここに原因があるように見えます。Shopifyは「お店を作って運営する道具」で、モール型ECのようにサービス自体が集客してくれるわけではありません。
補足
個人的に避けたいと感じるのは、アプリを次々に入れて月額費用がふくらむ一方で、集客が手つかずのままという状態です。最初は標準機能と無料テーマで小さく始め、「売上の課題が見えてから、その課題を解くアプリを足す」順番にすると、費用と手間のバランスを取りやすいと思います。
07向いている人・向いていない人
どちらが良い・悪いではなく、目的との相性の問題です。
| 観点 | 向いている人 | 別の選択肢も検討したい人 |
|---|---|---|
| 運営の考え方 | 自社ブランドのお店を長く育てたい | モールの集客力に頼って、まず売れるかを試したい |
| 技術面 | サーバー管理は任せて、販売に集中したい | サーバーやシステムの中身まで自分で管理・改造したい |
| 販売チャネル | ネットと実店舗、海外販売まで一元管理したい | ネットショップだけを、ごく小規模に運営できれば十分 |
| 費用 | 月額料金とアプリ費用を運営コストとして計画できる | 固定費をできるだけゼロに近づけたい |
| カスタマイズ | テーマとアプリの範囲で作り込めれば足りる | 購入手続き画面まで完全に独自仕様にしたい |
自分でサーバーを持ち、WordPressにEC機能を足して作る方法もあります。自由度が高い代わりに、サーバーの管理や更新作業を自分で担うことになります。違いはLESSON 09 ShopifyとWordPressの違い(近日公開)で整理しています。
08まとめ
ここがポイント
- Shopifyは、ネットショップに必要なサーバー・カート・決済・デザインを月額制でまとめて提供するSaaS型のサービス
- 実店舗のPOS、海外販売、他サイトへの購入ボタン設置まで、ひとつの管理画面で扱える
- 費用は「月額料金」「決済手数料」「アプリ・テーマ」の3種類に分けて考える
- メリットは「最初から揃っている」ことと「アプリで後から足せる」こと。デメリットはアプリ費用の積み重なり、SaaSゆえの制限、集客は自分で行う必要がある点
理解度チェック
質問をクリックすると答えが開きます
Q1. Shopifyでネットショップを始めるとき、自分でサーバーを契約する必要はありますか?
ありません。公式料金ページでは、すべてのプランにウェブホスティングとSSL証明書が含まれるとされています。
Q2. Shopifyの費用は、どんな3種類に分けて考えるとよいですか?
固定でかかる「月額料金」、売上に比例する「決済手数料」、必要に応じて増える「アプリ・テーマの費用」の3種類です。
Q3. 「Shopifyは儲からない」と言われる原因として、この回で挙げたのは何ですか?
Shopifyはお店を作る道具で、モールのようにサービス自体が集客してくれるわけではないため、集客を自分で行う必要がある点です。